子育て・学び

【のりもの図鑑 #06】神戸市バス〜街の歴史を乗せて走った90余年〜

神戸市交通局 2026/8/10

1930(昭和5)年9月に誕生した神戸市バス。それから90余年、ボンネットバス、愛称バス、ノンステップバスと、車両は時代とともに大きく変わりながら、いつの時代も「市民の足」として走り続けてきました。

24台のシボレー車から、神戸市バスが誕生(1930〜1938年)

1930(昭和5)年に第1陣として導入

1930(昭和5)年9月に誕生した神戸市バスは、全長4.85m、座席定員12人の小さなアメリカ車24台から出発しました。同年10月に行われる海港博覧会の輸送需要に応えるため、15台を追加購入。その後も台数を増やし、わずか2か月で55台体制に拡大します。車体の大きさも、1938(昭和13)年式では全長約7m・定員37人と、創業からわずか8年で3倍超に大型化しました。

自家製作車体の1935(昭和10)年式。のちに観光バスとして活躍

阪神大水害と戦争で全てを失い、たった2台から再出発(1938〜1947年)

ところが、急拡大の途上にあった市バス事業は、1938(昭和13)年に壊滅状態になります。三宮駅前に止まっていた市バスが土砂埋めになるほどの阪神大水害や戦争によって、燃料も物資も人員もすべてを失いました。

阪神大水害で土砂に埋まった市バス(三宮駅前)

終戦を迎えても稼働できた車両は、たった2台。燃料不足のなか頼れたのは、薪で走る「薪バス」のみとなり、煙をあげながら焼け跡の街を走りました。1947(昭和22)年、連合軍から払い下げられた軍用車両30台が市バスカラーをまとって走り出したことで、乗客数は3倍へと急回復。かつて戦場を走った車が、今度は神戸の街を市民を乗せて走り始めたのです。

連合軍から払い下げられた軍用車両を市バス仕様に改装

復興の象徴「丸顔のボンネットバス」が帰ってきた(1948〜1961年)

1948(昭和23)年に導入されたいすゞBX91(定員43人・三菱重工業製)

戦後の混乱が落ち着いてくると「ボンネットバス」が登場。ボンネット内にエンジンを収めた丸みを帯びたフォルムが、戦後の市バスの顔でした。終戦時2台だった在籍車両は1960(昭和35)年には351台へ、乗客数は65倍以上に増え、バスの活躍とともに神戸の街も人も元気を取り戻していきました。今も中央営業所に保管される唯一のボンネットバスは、復興の時代を生き抜いたバスの記憶を静かに伝えています。

また、トラックを改造したレプリカのボンネットバスは、現在も神戸まつりなどのイベントに登場すると注目を集める人気者です。

全て手作りで製作された貴重なボンネットバス(レプリカ)

愛称バス「ろっこう号」が走る街。市電が消え、バスが主役へ(1955〜1971年)

高度成長期には神戸の街に自動車が急増。同じく神戸市交通局が運営していた路面電車・神戸市電が1910(明治43)年から神戸市内を走っていましたが、渋滞に巻き込まれることが増えスピードダウン。「亀の子」と揶揄され1971(昭和46)年に全線廃止となりました。主役の座を引き継いだ市バスには「ろっこう号」「ひろの号」など神戸にちなんだ愛称バスが登場。

六甲山の名を冠した愛称バス「ろっこう号」

観光バスを思わせる「セミロマンス車」も人気を集めるなど、単なる移動手段から、神戸の街を楽しむ手段としてバスを活用するようになりました。

1959(昭和34)年式ふそうセミロマンス(72人乗り)。大きな窓と観光バスを思わせるデザインが人気

震災の朝の18路線。それでもバスは走った(1995年)

マグニチュード7.3の地震が神戸を直撃した阪神・淡路大震災。鉄道が全線麻痺する中、市バスは当日のうちに18路線の運行を再開した

1995(平成7)年1月17日午前5時46分、阪神・淡路大震災が神戸を直撃しました。市バスは83台が被害を受け55路線が運休となりましたが、比較的被害の少なかった西神・垂水・落合の3営業所を中心に、当日中に18路線を再開。鉄道が麻痺する中、バスは市民の足を守り続けました。

人にも環境にもやさしいバスへ(2001年〜現在)

震災からの復興が進み、社会のニーズが多様化する中で、バスの「かたち」も大きく変わります。2001(平成13)年に大型ノンステップバスを初導入。段差のない低い床と広い扉が、車いす利用者やベビーカーを連れた家族の乗り降りを劇的に改善しました。

実は、1972(昭和47)年、日本で初めてバスに優先座席「オレンジシート」を設けたのは神戸市バスでした。当時は目立つようオレンジ色でしたが、現在は神戸市独自のポートタワーが描かれています。

オレンジシートを設置している車両は、現在は約50両のみ

さらに、バリアフリーから環境対応(CNG・ハイブリッド)、そして2023年の水素バスへと、時代とともに進化を続けています。

全長6.9m、定員約30人のコンパクトな車体が特長。細い路地や坂道も軽やかに走り抜けます

環境負荷の低減と快適な乗り心地を両立します

時代が変わっても、いつも神戸の街にいた神戸市バス。その90余年は、この街が歩んできた歴史そのものです。これからもきっと、そうあり続けるでしょう。

沿線NAVI編集部

神戸市交通局から委託を受けた民間企業が運営しています。神戸市交通局沿線の魅力や、市バス・地下鉄を身近に感じていただける情報をお届けしています。

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