のりもの

【のりもの図鑑 #01】神戸市電~時を越えて巡る あの路線の今~

神戸市交通局 2025/3/13

1910(明治43)年から1971(昭和46)年までの約60年間、かつて神戸市内を走っていた路面電車、神戸市電を知っていますか?市内の様々なエリアを走り、人々の移動手段として存在価値を発揮していたと同時に、他社電鉄のターミナルとしても大きな役割を果たしていました。

当時では珍しい転換クロスシート(※)が設置されている路面電車としても注目を浴び、神戸市の発展に伴い系統数も増加していきました。他社鉄道の開通や自動車利用の普及によって1928(昭和3)年以降は乗客数が減少し、1971(昭和46)年に市電の運行に終止符が打たれることとなりましたが、今でも当時の面影が市内各地に刻まれています。

※転換クロスシート:背もたれの向きを変えることができるシートのこと。電車が折り返しになっても、向きを変えることで進行方向に着席できる

かつての路線は今どうなっている?

市電が走っていた街の風景は、廃止後どのように変化していったのでしょうか。昔と現在の写真を比較して、路線があったとされる場所をいくつか振り返ります。

駅前繁華街の中心地で活躍

現在も賑わいを見せる三宮地区。中心部に大きく建っている神戸阪急は、2019年までは「そごう神戸店」として運営されました。1960(昭和35)年の写真を見てみると、当時の百貨店は阪神電車「三宮駅」に繋がる、街一番の規模のお店であったことが分かります。

市電は道路の真ん中に路線がありました。現在このエリアでは、都心・三宮の再整備事業として様々なプロジェクトが進められています。

ガスタンクのそばで走り続けた線路街

阪神電車「春日野道駅」のすぐ近くにあり、街の目印となっていたガスタンク。現在は球体のような丸みを帯びたガスタンクが主流ですが、昔は黒い円柱型が多く見られていたようです。

神戸市電の路線跡地には中央分離帯があり、合計10車線もの道路が広々と設けられています。神戸市電があった時代は大きな建物がありませんでしたが、現在はマンションやアパート、スーパーが多く建ち並ぶ住宅街となっています。

神戸市電の窓から覗く賑わいの商店街

駒ヶ林駅~新長田駅エリアには、大正時代から続く老舗・大正筋商店街があります。戦後の昭和30年代にはお店が130店ほど構え、全長341mのアーケードができるなど活気があふれていました。このアーケードは当時注目を浴び、三宮センター街の担当者が参考にしたそう。

市電は高速道路の高架下を走り、商店街の目の前に停留所がありました。市電に乗って商店街へ買い物に来ていた人がいたことが分かります。現在は周辺にショッピングモールや飲食店が建てられ、地下鉄などで多くの人が利用しています。

かつて神戸の街をで走っていた路面電車は、今も人々の関心を引き付けています。当時の写真を参考に記録を辿り、市電の路線があった場所へと街歩きをしてみてはいかがでしょうか?

沿線NAVI編集部

神戸市交通局から委託を受けた民間企業が運営しています。神戸市交通局沿線の魅力や、市バス・地下鉄を身近に感じていただける情報をお届けしています。

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